発疹チフスになると、発熱、激しい頭痛、極度の疲労感が現れ、4~6日後に発疹が現れます。 感染症を診断するために、医師は発疹のサンプルを検査し、ときに血液検査を行います。 発疹チフスは抗菌薬で治療されます。. チフスという名称はもともと、古代ヨーロッパで流行していた発疹チフスに対して、発症時に見られる高熱による昏睡状態のことを、 ヒポクラテス が「ぼんやりした、煙がかかった」を意味する ギリシア語 typhus と書き表したことに由来する。以後、発疹チフスと症状がよく似た腸チフスも.
発疹チフス(ほっしんチフス、英: epidemic typhus)は、発疹チフスリケッチア(リケッチア・プロワゼキイ、Rickettsia prowazekii)の感染を原因とする細菌感染症。感染症法における四類感染症である。「チフス」の名称がつき症状も類似しているが、腸チフスやパラチフスとは全く別の疾患であり、感染経路も異なる。
原因
リケッチアの一種である発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の感染を原因とする。コロモジラミ(Pediculus humanus)またはアタマジラミにより媒介される。自然感染したムササビが発見されたため、人獣共通感染症の可能性が指摘されている。
疫学
人口密集地域、不衛生な地域に見られ、衣服に付くシラミやダニが媒介することから、冬期、または寒冷地で流行が見られる。特に戦争・飢饉・牢獄・収容所などに好発し、「戦争熱」「飢饉熱」などの通称がある。
例えば、1812年のナポレオンのロシア遠征などである。第一次世界大戦のロシアでは3000万人が罹患し、10%が死亡した。またナチス・ドイツのユダヤ人強制収容所でも発生し、大きな被害を出したが、これには、アウシュヴィッツをはじめとするユダヤ人収容所が存在したポーランドが、歴史的に、発疹チフスの発生を繰り返してきた土地であった事にも注目する必要がある。『アンネの日記』のアンネ・フランクも、アウシュヴィッツ第二収容所からベルゲン・ベルゼン強制収容所に移送された後、発疹チフスによって死亡したとされているほか、独ソ戦でも両軍に多数の死者を出している。
日本では明治20年頃から感染が診られるようになり、日本軍の大陸侵攻が進んだ明治後期より昭和20年代にかけて流行したが、1955年(昭和30年)以降報告されていない。20世紀初頭にはそのほか世界各地でもみられたが、現在ではアフリカ、南アメリカの高地といった寒冷地を中心に発生する。
症状
潜伏期は1から2週間。発熱、頭痛,悪寒、手足の疼痛などで突発し、高熱、全身に広がる発疹が特徴的症状である。皮疹は体幹の斑状の紅斑や丘疹からはじまり次第に手足に広がってゆく。手掌、足蹠をおかさないとされる。重症例では点状出血様になる。頭痛・精神錯乱などの脳症状が強いのも特徴である。致死率は年齢により異なり、20歳まででは5%以下であるのに対して、加齢に伴い増加し、60歳以上では100%近くなる。発疹チフスの初感染から回復したヒトに発生する再発型リケッチア症があり、これは Brill-Zinsser病 と呼ばれ患者は新たな病原体の供給源になる。
診断
寒天培地に代表される、培地を用いた培養は成功しない。培養細胞を用いた発疹チフスリケッチアの増殖・培養は設備があれば容易である。血清学的には蛍光抗体法などによって診断され、スタンダードである。また遺伝子工学的にはポリメラーゼ連鎖反応によって診断可能であり、感度・特異度・診断までのスピードのどれをとってももっとも優れているが、コンタミネーションに気をつける必要がある。世界的に見ると、本症の流行地においてはこのような高価な最先端の方法は行いづらいという問題がある。
治療
感受性のある抗生物質が有効である。
予防
予防は、衣服や寝具なども含め身体を清潔にし、シラミを少なくすることが有効である。このことから戦後直後の日本では進駐軍が持ち込んだDDTがシラミ駆除に用いられたが、1981年(昭和56年)以降DDTの輸入、製造、利用は禁止されている。
出典
参考文献
- 感染症の話 発疹チフス (PDF) 国立感染症研究所感染症情報センター 2001年第50週(12月10日~12月16日)掲載
- 高鳥浩介『獣医公衆衛生学(高島郁夫、熊谷進編)』(第3版)文永堂出版、2004年。ISBN 4-8300-3198-0。国立国会図書館書誌ID:000007617304。
- 平松啓一, 中込治, 山西弘一, 山田作夫『標準微生物学』(第9版)医学書院〈Standard textbook〉、2005年。ISBN 4260104535。国立国会図書館書誌ID:000007728369。
関連項目
- リケッチア
- ジェロラモ・カルダーノ
- シャルル・ジュール・アンリ・ニコル
- DDT
- パウル・ヘルマン・ミュラー
- 肥沼信次
外部リンク
- 発疹チフス – MSDマニュアル
- 発しんチフス – 国立健康危機管理研究機構
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デジタル大辞泉 – 発疹チフスの用語解説 – リケッチアの一種プロワツェキイがシラミの媒介により感染して起こる感染症。10~14日間の潜伏期ののち発症し、高熱や全身に細かな発疹が出て、意識混濁・うわごとなどの脳症状を示す。感染症予防法の4類感染症の一。かつてヨーロッパでは戦争.. 発疹チフスは、「リケッチア」という細菌の一種が原因で起こる感染症です。シラミがこの細菌を持っており、シラミが人の血を吸うことで感染が広がります。特に寒い山岳地帯で多い病気で、日本では戦中や戦後すぐの時代に大きく流行していましたが、1957年以降は1例も確認されていません。